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引船の転覆について一考察

 引船の曳航索の巻揚機が、当該引船の中央付近の甲板上に据え付けられているとします。言うまでもありませんが、引船の推進力は、船底船尾付近で発生します。

 鉛筆を引船に例え、このことを再現してみましょう。

 鉛筆の中央付近を右手人指し指と親指で挟みます。

 次に、その鉛筆の後ろを左手人指し指と親指で挟みます。

 この状態で、左手側は鉛筆の先端に向けて押し、右手側は鉛筆の後ろへ引いてみます。これらの力のベクトル方向をずらしてみると、鉛筆の先端が左又は右に少し回転することがわかります。これを引船に例えると、引船は、①索張力により定常的に左舷側又は右舷側に傾斜し、②波により横揺れしている、ことになるでしょう。

 この状態からさらに、右手側を鉛筆の後ろへ強く引いてみると(曳航索が緊張し大きな索張力が発生したことを意味します)、さらに鉛筆の先端が左又は右に回転します。これは、引船の①の傾斜が一層大きくなり、波の作用の程度によっては、引船が転覆に至ることを意味します。

 以上の考察から、次のような結論を得ることができます。曳航索の巻揚機の据え付けが、プロペラの真上に近いほど、左舷側又は右舷側への傾斜・転覆が生じにくい、ということです。


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